2026/09/16 13:15

イギリスの家庭に必ずと言っていいほどある「王室記念マグ」。戴冠式か、在位記念か。誰の即位か。手がかりが分かると、年代がぐっと読めるようになります。

イギリスの蚤の市やチャリティショップをのぞくと、かなりの確率で出会うのが「王室記念マグ」です。

戴冠式、在位記念、ご成婚。イギリスでは王室の節目のたびに記念の食器が作られてきました。しかも安価な量産品から、名窯がつくった上等なものまで幅が広い。だから100年前のものが、今でも普通に家庭の食器棚に残っています。

わたしたちがイギリスで暮らしていた頃も、近所のマーケットで山積みになっているのをよく見かけました。ただ、山の中から「これは何年のもので、誰の記念なのか」を読むには、少しだけコツが要ります。

今日はその見分け方を、実際に手元にある品を例にご紹介します。

手がかり① まず「戴冠(Coronation)」か「在位記念(Jubilee)」か

マグに書かれた英語を見てください。ここが一番大きな分かれ道です。

Coronation(コロネーション)=戴冠式の記念
新しい国王・女王が即位したときに作られます。一代につき一度きりです。

Jubilee(ジュビリー)=在位◯年の記念
即位から何年経ったかのお祝いです。25年で Silver Jubilee(シルバージュビリー)、50年で Golden、60年で Diamond と呼び名が変わります。

つまり「Coronation」と書いてあれば即位の年、「Silver Jubilee」と書いてあれば即位から25年後の年、と読めるわけです。

手がかり② 名前と年号を突き合わせる

あとは、書かれている名前を年表に当てはめるだけです。よく出会う4つの年をまとめました。

1911年 ― ジョージ5世&メアリー王妃の戴冠

エリザベス2世女王の祖父にあたる国王です。100年以上前のもので、いまアンティークと呼べる領域に入ります。装飾が細かく、絵柄の印刷もどこか手仕事の気配が残っています。

【Antique】King George V & Queen Mary Coronation Mug (1911)

1937年 ― ジョージ6世&エリザベス王妃の戴冠

エリザベス2世女王のご両親です。この年の記念品には、ひとつ面白い背景があります。もともと1937年5月12日は、兄のエドワード8世の戴冠式の予定日でした。ところが退位により、同じ日程で弟のジョージ6世が即位することになったのです。そのため、エドワード8世の名前で作られた「行われなかった戴冠式」の記念品も世に出回っています。

【Antique】King George VI & Queen Elizabeth Coronation Mug (1937)

1953年 ― エリザベス2世の戴冠

戦後の明るさが出てくる時代です。この年のものは流通量も多く、素朴なものから名窯のものまで幅があります。手元にはイギリスの陶器窯 DENBY(デンビー)のものもあります。

DENBY Coronation of Queen Elizabeth II Mug (1953)

1977年 ― シルバージュビリー(在位25年)

いちばん出会いやすいのがこの年です。70年代らしいポップな配色とグラフィックが特徴で、王室記念品というより当時のデザイン雑貨として見ても格好いい。同じ1977年でも、絵柄のバリエーションがとても豊富です。

Union Jack Mug(トリコロール)
Portrait Mug(女王の肖像)
Silhouette Mug - Rose(シルエットとバラ)
Copper Brown(落ち着いた銅色)
Stacking Mug(重ねられる形)
Mini Portrait Plate(小さな飾り皿)

手がかり③ 裏を見る

器をひっくり返して、底の刻印(バックスタンプ)を見てください。窯の名前や、記念の文言、年号が入っていることがあります。

年号がそのまま書いてあれば話は早いのですが、無いことも珍しくありません。その場合は表の文言と名前から②の年表で読む、という順番になります。

選ぶときの、ひとつの考え方

年代が古いほど価値が高い、とは限りません。

1977年のシルバージュビリーは数が多いぶん手に取りやすく、デザインの遊びも豊かです。毎日のコーヒーに使うなら、こちらのほうが気楽かもしれません。一方で1911年や1937年のものは、100年近くを生き延びてきた佇まいがあります。使うというより、棚に置いて眺める時間そのものが価値になります。

どちらが上ということではなく、その器と、どう暮らしたいかで選ぶのがいちばん失敗しないと思っています。

わたしたちはイギリスで出会い、イギリスで暮らし、いまは日本から、現地で見つけた品をお届けしています。ひとつひとつ、実際に手に取って選んだものだけを扱っています。

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